『54歳引退論―混沌の長寿時代を生き抜くために』
布施 克彦 著
ちくま新書 刊
作者は、1947年の生まれだから今年63歳。
この本が出版されたのは2003年。
7年前ということになります。
まさしく団塊の世代の作者は、総合商社の社員として、かなりの年数を海外赴任で過ごし、54歳でサラリーマンを引退し、今は大学講師や作家として活躍している人。
今や伝説となっているバリバリの企業戦士として働く。
タフな外国人(主に中国人やインド人)に出会ったカルチャーショック。
日本経済の衰退(作者が属していた鉄鋼部門は特に深刻だったよう)。
まだ年功序列、終身雇用が常識だった時代ですが、そんな体験から価値観の転換を余儀なくされ、サラリーマンを早く辞め自分の好きなことをしたいという思いが強くなります。
といってもすぐに辞めるのではなく、十分な準備期間を持ち、会社がなくても自分の個人力を磨いてから引退せよと言います。
引退と言っても、好きなことで社会貢献をしていくといったイメージです。
作者が目指したのはモノ書きですが、豊富な海外での経験も生かし、海外交流のNPOなどにも属し、大学で教えたりすることになります。
海外勤務をしろ、仕事を通して自分探し、個人力を見に付けよ。
あまりにも、作者の個人的な経験に依るところが多く、普遍的ではありませんね。
海外勤務をしたり、望んで子会社へ出向したりできるような環境にいる人はそうそういないでしょう。
「何をするかとか、何になるかではなくて、自分という人間がどういった分野で世の中の役に立つことができるかを、まず考えるべきだと思う。今までサラリーマンとしてやってきたことをベースとして、社会のために何ができるかを見極めるとよい。」
会社がすべてだという価値観オンリーだったと思われるこの年代の人が、そんな発想ができたのがすごい。
海外で仕事をしていたときの体験談が面白かったけれど……
そんなに高給をもらえる人も、なかなかいないわけで……
今の時代。
