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ケータイ・ストーリーズ

ある男が、携帯電話を飲み込んでしまう。
しかし、仕事には行かなくてはならず、業務をこなしながら腹で呼び出し音が鳴るのを必死でごまかすが、ついに上司に見つかる。

といった、荒唐無稽な状況からスタートする物語が80編。
どれも1ページから2ページくらいの短いストーリーです。

しかし、これだけの奇想天外なシチュエーションを良く思いつくものだと感心します。
読んでいくうちに、だんだん何が現実か何が幻か、わからなくなっていく。

たとえば、はじめに紹介した携帯を飲み込む男の話では、男はうっかり飲み込んでしまったとある。
どうしてそんなことになったのかは説明されていない。
なぜなら、ここで説明するには複雑すぎるからだって。

それで男が働いている会社は規律が厳しくて携帯の持ち込みが禁止になっている。
それで、男は呼び出し音が鳴るたびに「新しい隠し芸だよ」といって自分が音を鳴らしているふりをする。
当然、上司に目をつけられるが、その上司も何かを飲み込んだ状態にあるのだ。

と説明するだけ虚しくなるけれど、これでも本書のなかでは、一番わかりやすい方。
一応、オチらしい終わり方になっているしね。

後は、話も何もありゃしない。
小鬼が待ちに初めての買い物をしにいくわ、水なかで生きている羊はいるは、魔女や魔術師はいたずらはするわ、とやりたい放題。

何かの隠喩になっていそうだが、そうでもなさそう。
ストーリもない、オチもない。

作者はただ遊んでいるだけか?
それとも、混沌とした現在を、こういった形で表現しているのだろうか?

好きな人には、たまらない1冊です。

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