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ある夜のあせり

母は、私のところから自転車で10分くらいの所に住んでいます。 

60代後半で、さすがに若い頃よりは弱っていますが、まだまだ元気です。  

最近、ひとり暮らしになったので、毎日携帯に電話をかけて大丈夫かどうかを確認しています。  

近いので行ってあげればいいのですが、なかなか面倒なものですね。 

一応、犬も飼っていることですし・・・  

ところが昨日、夕方くらいから連絡が取れないようになってしまいました。 

携帯に電話しても、着信音が鳴らず、留守番電話サービスに飛んでしまうのです。  

はじめはどこか電波の届かないところへでも行っているのかと思っていたのですが、夜の8時を過ぎてもかからず、だんだん心配になってきました。  

こんなに長い時間、連絡が取れないのははじめてのことです。 

若いころならともかく、不安が頭をよぎります。  

寒かったので次の日の朝に様子を見に行こうかと思ったのですが、どうにも心配になって自転車を走らせました。  

・・・息をきらせて母の家の玄関の前まで来たときに、私の携帯が鳴りました。  

見ると母からの着信です。  

「もしもし、どうしたの?」  「ああゴメン、留守電入れてくれた?  

携帯の電池が切れていたのに、ぜんぜん気がつかなかったわ」  

寒さは身にしみましたが、胸の内側がホッと暖かくなりました。 

大きく深呼吸。

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